突然ですが、LGBTQ+当事者の皆様は日常生活でどんな事で困っていますか?
何か制度を受けられない、周囲から理解を得られないなど様々なケースがあるのではないでしょうか。
そこで今回は当事者の方が不快になるような発言を聞いた、もしくは言われた際の対処法を架空の事例に沿って解説します。
【こんな時どうする?】ケース①

【登場人物】
- Aさん(男性):こころの性と身体的性は男性で、セクシュアリティはゲイ。現在、同性婚を考えている同性パートナーと同棲中でXYZ商社という会社に勤務。上司のCさんと友人のBさんにのみ、カミングアウト。その他の同僚へはカミングアウトしていない。同性婚賛成派。
- Bさん(男性):Aさんの親友。Aさんと同じ、XYZ商社に勤務している。LGBTQ+に興味・関心があり、自分から進んで当事者コミュニティに足を運んだり、勉強会にも参加。Aさんからはカミングアウトを受けている。シスジェンダー(異性愛者)。
- Cさん(男性):AさんとBさんの上司。Bさんと同じく、LGBTQ+に興味・感心があり、社内でのLGBTQ+に関する講演会の企画・立ち上げを行ったりしている。Aさんからカミングアウトを受けている。シスジェンダー。
【状況について】
Aさんは、Bさんと上司のPさんと共に、会社の飲み会に参加。その飲み会の最中にふと結婚の話題が持ち上がった。Aさんのセクシュアリティを知らない他の同僚はAさんに対して、「同性同士の結婚って、考えただけでゾッとするよね。何か気持ち悪いよね」と言った。
【ケース1について】状況説明
今回のケースは、Aさんのセクシュアリティを知らない他の同僚がAさんに対して同性婚は気持ち悪いというような趣旨の発言をしたというものです。
今回の発言をした同僚には、Aさんを始めとした当事者の方にもしかしたら不快感を与えているかもしれないという自覚はありません。
こうしたケースがもしあった場合、当事者のAさん、もしくは理解があり、アライのような立場でもある親友のBさんや上司のCさんはどうすればいいのでしょうか。
【ケース1について】考えられる対処法(当事者目線)
発言を聞いて、気分が悪くなり、帰りたいと思った場合はその場から離れるという対処が考えられます。
「急に帰ったら周りに迷惑をかけてしまう」など周囲の事を考えて、無理をして、その場に留まる必要は全くありません。
大切なのは自分自身がどうしたいかです。
帰る理由などについては、自分から言える場合とそうでない場合があると思います。
自分で言える時は例えば「お酒の飲みすぎで体調が悪くなったから帰りたい」というように言うのもアリです。
また、自分での対処が出来ない場合は、カミングアウトをした人など、信頼できる相手へのみヘルプを求めてください。
【ケース1について】考えられる対処法(非当事者・アライ目線)
非当事者やアライの方が発言に対して声を挙げる事も手段の1つです。
非当事者・アライの方が声を挙げる事で当事者の方が抱えるモヤモヤ解消へと繋がる場合があると考えられるからです。
当事者の方が抱えているモヤモヤとは、自分が正しいと思っている事を伝えられないです。
今回の場合、Aさんは同性婚に賛成という意見を持っていますが、同僚の方が同性婚は気持ち悪いという発言をしたため、自身の考えを言い出せない状況です。
では、非当事者・アライの方が本当に発言をするのなら、どういった文言がいいのか。
もし私ホノカ自身が非当事者・アライという立場ならこう言おうと考えています。
- ~さんの発言を聞いて、私はとても悲しいです。
- 僕は非当事者(もしくは当事者を支援する立場)だけど、結婚は異性同士でも、同性同士でも尊重されるべきものだと考えているんだ。
- 僕の両親も同性婚反対派で、同性婚が気持ち悪いっていう愚痴をずっと聞かされていたから、~さんの気持ちも理解できるよ。
- でも、今は職場のみんなが集まって楽しくお酒を飲んでいる場だから、気持ち悪いっていう発言を周りの人は言ってほしくないって思っているかもしれないよ。
- ~さんの同性婚に対しての愚痴は、僕がまた時間を作って聞いてあげるよ。だから、この後は同性婚って気持ち悪いな、みたいな発言は控えてくれると嬉しいよ。
次の項目からは、私ホノカが文言を考えた上で重視した事を解説します。
【ホノカが重視した事①】自分の気持ちを尊重する
自分で考えた文言とは言え、今回のような事をリアルに聞くのは、自分が当事者か非当事者・アライであるかどうかかかわらず、とてもショックです。
こうした気持ちを吐き出す事は、「自分で決めた事を言えた」と、自己肯定感を高めるきっかけにもなるはずです。
逆に気持ちを溜めこめば、「どうしてあの時、言えなかったんだろう」などと自分で自分を責めてしまう事になります。
私は自分で自分を責める事は嫌なので、まずは自分の気持ちを率直に伝えるようにしました。
次は相手の気持ちを尊重する事です。
【ホノカが重視した事②】相手の考え方を否定しない
人には、その人なりの考え方があります。
その考え方を誰かから否定されたら、とてもショックですよね。
今回の発言をした当人は「同性婚=異質」という考え方を持っています。
いくら時代から逆行したとしても、当人にとっては長年信じてきた考え方でもあります。
それをもし「違うよ」などと言ってしまうと、相手の怒りを買ってしまう事になります。
相手の方へ自分もその考えが分かると伝えつつ、今は愚痴っぽい言葉を控えてほしいな、そうしてくれたら嬉しいというような文言にしてみました。
ここまで、文言を考える上でのポイントを解説しましたが、次の項目からは、発言を実際に言う上での注意点を2点解説します。
併せて読みたい!
文言を考える上で参考にしたのは「アサーティブコミュニケーション」という手法です。
日常生活でも使えるコミュニケーションの手法なので、皆様ぜひ一度チェックしてみてください!
【発言をする上での注意点①】自分の発言に対しての責任が持てるかどうか
発言をした後に、「何であんな事を言ってしまったのか」と自分自身を責めてしまってはいないか。
相手が指摘に対して怒ってしまう可能性も考慮したかどうか。
もし発言へ指摘をするのなら、こうした事を考える必要があります。
その理由は自分で自分を傷つけないためです。
発言をしたけれど、自分で自分を責めてしまったり、かえって状況が悪化したりしまっては元も子もありません。
発言をしたせいで落ち込んだりするのなら、発言への指摘をする必要はありません。
当事者の方・その場の状況を見守ることも十分な思いやりと言えるのではないでしょうか。
【発言をする上での注意点②】声を挙げる事がモヤモヤ解消に繋がるばかりではない
指摘をされた当人が考え方を改めなかったり、指摘に対して反論してくる可能性も十分にあります。
こうした可能性も頭の中に入れておくと、「全ての局面において何か言わなきゃ!」というような思いに駆られる事は少なくなると思います。
発言への指摘自体、ハードルが高い行為なので、無理をする必要は全くありません。
ただ、それでも声を挙げたいという場合もあるはずです。
それは他者に変わってほしいからではなく、自分自身の思いに蓋をしたくないからです。
言いたいと思った事を、場に沿った形で伝える。
聞き手側の考えがすぐ変わらなくとも、自分の発言に責任を持ち、且つ相手と自身を尊重した上で思いを伝えられたのなら、自分で自分を大切に出来ていると言えるのではないでしょうか。
ケース1まとめ
ポイント
- 当事者の方:発言を聞いて、その場にいたくないほどの不快感をもし感じたら、無理をせずに場を離れる。
- 非当事者・アライの方:自分の発言や行動に責任が持てるのなら、指摘をしてみる。指摘が当事者の方のモヤモヤ解消へと繋がる可能性があるから。(但し、全てのケースにおいて可能性があるというわけではないので、注意!)
ケース1は不快な発言に対しての対処法を見てきました。
このケースの対処法の根底にあるのは「自分自身を大切に出来ているかどうか」ですが、それを行動や発言に置き換えるのはとても難しいです。
ですが、日々の生活での選択や会話の中でも自分自身の意思に則って、判断や発言をする事が、自分を少しずつ肯定していく後押しになるのではないでしょうか。
私は誰かのために、自分自身をすり減らしすぎる必要はないと思っています。
ほんの少しずつ、自分自身の事を大切にしてあげてくださいね。
次の項目からは、ケース2の解説に移ります。
【こんな時どうする?】ケース②
【登場人物】
Dさん:セクシュアリティはトランスジェンダー。こころの性は女性で身体的性は男性。外出の際は、いつも女性用のワンピースを着ている。
Eさん:Dさんの親友でシスジェンダー。Dさんにとってはアライのような人。LGBTQ+に興味・関心があり、現在勉強中。
【状況】
DさんとEさんはショッピングモールで買い物をしていた。その際、Eさんは周囲の買い物客がDさんをジロジロ見ている事に気付いた。EさんはDさんの着ている服装が原因で周囲がジロジロ見ているのではないかと考えた。DさんとEさんは「普段二人で来る時はジロジロ見られる事なんて無いのに」と困惑してしまった。
【ケース②について】状況説明
今回は、トランスジェンダー当事者の方が周囲からジロジロ見られているというケースです。
ここでいう目線とは「何であの人は男性なのに、女性用のワンピースなんか着ているんだろう?」というような、Dさんが不快さを感じるようなニュアンスです。
こうした場合、Dさん、そしてEさんにはどんな対処が出来るのでしょうか。
【ケース②について】対処法(当事者目線)
手立てに関しては、自分が「これなら実行しやすい!」と思うアクションから始めてみてください。
実行のポイントはハードルを下げる事です。
例えば、同行者の方に「場所を変えたい」と声をかける、自分の考えを捉え直す。
注がれる視線を、「自分はこんなにも注目されているんだな」とか「みんなLGBTQ+の事を教えられていないんだな。見られるのはまぁ、しょうがないのかな。悪口言われてるわけじゃないし」という風に前向きに捉える。
どうしても視線が我慢できない場合はネットショッピングでの購入に切り替えてみるのもいいかもしれません。
また、極端かもしれませんが、視線を注いでくる人を睨みつけて、「もう見ないでね!」と警告してみたり。
今挙げた手立てはあくまで僕自身の考えた事なので、これが絶対的に正しいという事はありません。
注がれる視線を何とかしたいと思った場合は、自分で手立てを考えてみて、やりやすいと思ったものから実行してみてください。
【ケース②について】対処法(非当事者・アライ目線)
まずは当事者の方の様子を一旦見てください。
当事者の方が何も言ってこない、体調の変化が無い場合などはそのままそっとしてください。
例えば、当事者の方が「視線が気になるから、移動したい、場所を変えたい」というように何かSOSを出した場合のみ、対応をしてください。
ケース2まとめ
ケース2
- 当事者の方:視線を不快だと感じたら、まずは実行しやすい事から始めてみる
- 非当事者・アライの方:当事者の方から何か言われない限りは、そっとしてあげる。
→当事者の方から何かヘルプを求められたら、実行する
ケース2は不快な視線に対しての対処法を解説しました。
このケース2の対処法を考える中で、僕は本当の意味での「相手の気持ちを考えて動く」というのは、目の前の相手と向き合い、相手から何も求められなければ自分からは一切動かず、何か求められればそれに応じた行動を取る、という事ではないかと思いました。
自分のしたい事が、必ずしも相手の真意とイコールとは限りません。
まず相手の方がどのようにしたいのか、その気持ちを尊重してください。
相手のために~をしたいと思っても、すぐ実行へは移さないようにしてあげてください。
行動する事が全てではありません。
自分から動かず、相手の気持ちを尊重して見守る事も十分な思いやりと言えるのではないでしょうか。