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皆様はノンバイナリーという言葉を聞いた事はあるでしょうか。
ノンバイナリーとは性自認、性表現が男性や女性にも当てはまらない、もしくは当てはめたくない方々の事を指します。
そんな当事者の方々は社会で生きて行く上で、様々な悩みを抱えています。
- ノンバイナリーという言葉の意味を知りたい
- 当事者だけど、自分が抱えている悩みとどう向き合えばいいのかが分からない
今回はこの上記2つを中心に解説しています。
ノンバイナリーは性表現・性自認を特に重視
ノンバイナリーは性表現・性自認を重視するセクシュアリティで、性的指向はあまり重要視されていません。
恋愛対象も人それぞれです(例えば男性と女性を好きになる人、恋愛対象として人を好きにならない人など)。
さて、そんなノンバイナリーですが当事者の方々はどういった悩みを抱えているのでしょうか。
次の項目からは、当事者の方々が抱える悩みを今回はほんの一例ですが、3つ取り上げたいと思います。
【悩み①】そもそも想定されていなかったセクシュアルである故にコミュニティが少ないため、孤独を感じてしまう
ノンバイナリーのコミュニティはとても少ないため、当事者の方々は孤独を感じてしまう事が多いです。
理由はノンバイナリーが他のセクシュアリティの方々から理解されづらいからです。
例えば、シスジェンダーというセクシュアリティがあります。
シスジェンダーは性自認と生まれ持った性別が一致しているセクシュアリティですが、生まれ持った性別というのは男性と女性の2つという事になります。
そのため、シスジェンダーの方からすればノンバイナリーというセクシュアリティをよく理解できない人もいます。
理解が難しいのには男女二元論という考え方が関係しています。
男女二元論とは?
性別を「男」と「女」に分ける考え方の事。
学校や職場など身近なコミュニティではトイレなど何かと、男性は男性、女性は女性と振り分けられる事が今もあります。
性別が男性と女性だけで限定されてしまっているからこそ、当事者の方々は周囲から自分達のセクシュアリティを理解されず、身近なコミュニティの中に入る事が中々出来ません。
それ故、ノンバイナリーのコミュニティも非常に少なく、当事者の方々は孤独を感じてしまう事がとても多いのです。
【悩み②】自分の事を好きになってくれた人と、どう向き合えばいいのか分からない
自分に恋愛感情や性愛感情を抱いてくれた方とどう向き合えばいいのかは、当事者の方々にとって大きな悩みの種です。
先程説明しましたが、ノンバイナリー当事者の方々の恋愛対象は人それぞれです。
男性と女性を好きになる人もいれば、恋愛対象として人を好きになれない方々もいます。
もし相手に自分がノンバイナリーだとカミングアウトすれば相手から拒絶されてしまう可能性もあります。
そのため、相手に自分が人を好きになれないという事を伝えられず、やきもきしてしまう事になります。
【悩み③】差別されているという事実が伝わらない
実はノンバイナリー当事者の方々が差別を受けているという事実は他のセクシュアリティが差別を受けているという事よりも、あまりよく知られてはいません。
その理由は2つあります。
まず1つ目は【悩み①】でも解説しましたが、ノンバイナリーが他のセクシュアリティ・コミュニティから中々理解されづらいセクシュアリティだからです。
当事者の方々が「私達は差別されている」と声を上げたとしても、シスジェンダーやバイセクシュアル当事者の方々の中には理解する事が出来ない人もいます。
そのため、「ノンバイナリーが差別を受けている」という事実の認識は、LGBTQ+界隈でも他のセクシュアリティ以上にとても遅れています。
続いて2つ目の理由は私達が普段暮らしている社会では、LGBTQ+に関する理解があまり進んでいないからです。
数年前よりかは、LGBTQ+に関する話題を日常でも少しずつ聞くようになったとは思います。
それでも、日本ではLGBTQ+に関する理解がまだまだ進んでおらず、ノンバイナリーといったセクシュアリティの知名度も非常に低いのが現状です。
そんな現状故、「ノンバイナリーが差別を受けている」という事実を日常生活を送る上で知る機会は全くと言っていいほど、ありません。
また、ノンバイナリー当事者の方々への差別はとても悪質なものが多いです。
例えば、「男性・女性という割り当てられた性から逃げたいがために当事者はノンバイナリーだと自認しているだけだ」というような差別です。
ノンバイナリーだと自認しているのにはその方々なりの理由が必ずあります。
だから「ノンバイナリーと自認したのは男性・女性という2つの性から逃げるがため」というのは身勝手な決めつけにしか過ぎません。
悩みとの向き合い方
ここまで当事者の方々が抱えている悩みについて解説してきました。
ここからはその悩みとの向き合い方を解説していきます。
【向き合い方①】コミュニティを探す
ノンバイナリーのコミュニティはとても少ないのが現状ですが、全くないというわけではありません。
なので、Google検索等でノンバイナリーのコミュニティを探してみるのもいいかもしれません。
コミュニティに参加する事で自分と同じ境遇を抱えている人がいるのを知れたり、差別を無くしていくための方法を知れたりする事もあります。
そこで今回は「ノンバイナリー研究会」というコミュニティを紹介します。
ノンバイナリー研究会は当事者の方々がこれまでの実体験を政治化するためのコミュニティ兼研究会です。
交流形式はオンラインで、毎月14日にイベントが開催されています。
「ノンバイナリーと就活」や「ノンバイナリー差別を廃絶するためには」などといった記事も公式サイトで読む事が出来ます。
また公式サイトには研究会への参加希望フォームもありますので、気になる方はぜひ!
【向き合い方②】自分自身と相手を配慮した伝え方をする
自分の事を好きになってくれた人がいる。でも、自分は人に恋愛感情や性愛感情を抱く事はない。
自分の事を好きなってくれた相手を傷つけたくはないから一旦その人と交流し始めたけど、やっぱり辛い。だから自分のセクシュアリティをカミングアウトしたい。
そういった場合はどうすればいいか。
重要なのは、相手を傷つけないよう配慮した言い方をするという事です。
その配慮が自分自身を守る事に繋がるからです。
唐突に「あなたと距離を置きたい」と言っても、相手の方をかえって混乱させてしまい、結果的に相手を傷つけてしまったり、最悪の場合、相手の怒りに火がついて、逆に自分が傷つくことにもなりかねません。
そういった事を防ぐためにも、相手に配慮する事はとても有効な手段です。
ここまで相手を配慮するという事の大切さについて伝えてきましたが、自分の事を好きになってくれた相手のために自分自身が無理をする必要はありません。
相手に自分の思いを直接伝えるなら、相手を傷つけないよう配慮しなければなりません。
ですが、相手に自分の思いを直接伝える前は、どうか自分の感情を優先して考えてください。
無理な人付き合いをすると、私達は心身ともに壊れてしまうからです。
具体的にどう伝えればいいのか、困ってしまった場合はぜひ私達b-LIGHTを頼ってくださいね。
【向き合い方③】自分を傷つける情報を見ないようにする
X(旧Twitter)など、SNS上ではセクシュアリティに関する差別と捉えられるツイートをよく見かけます。
そういった情報を無理に見ないようにする。
自分が不快だと感じたものを無理に見る必要は全くありません。
また差別に耳を傾ける必要もありません。
耳を傾ければ、傾けるほど、自分自身が傷つきます。
非当事者の方へ
私達の身の回りにはノンバイナリーなど、様々なセクシュアリティを持っている方が沢山います。
そういった方々がいるという事をまずは知ってくれると、ありがたいです。
知るという事だけでも全然違うと思います。
そして、当事者の方々を自分とは違う存在だからという理由で差別するのは絶対にやめてください。
差別が原因で、自ら命を断ってしまう当事者の方々も本当にいます。
排除するのではなくて、まずは知ってみるという事。
難しい事かもしれません。
ですが、当事者の方々と交流する機会がもしあるのなら、まずは耳だけでも傾けてくださると、嬉しいです。
最後に
最後にですが、ここまで記事を読んでくださった皆様にお願いがあります。
- 少なくとも1人に「ノンバイナリー」というセクシュアリティがある事を教える
- 私のこの記事をシェアする
- ノンバイナリーというセクシュアリティについて調べてみる
この3つの事をトライしてみてください!
まだ社会に浸透していない事に対して理解が広まっていくというのは理解者が少しずつ増えていくという事に繋がります。
セクシュアリティで生きづらさを感じてしまっている当事者の方々達のために、ほんの少しでも力を貸していただけると嬉しいです。
参考文献一覧
ライター投稿型LGBT発信サイト NOISE「ノンバイナリー、自称しにくい問題について」https://lgbter.jp/noise/0102/ 2024年2月26日閲覧
Sports for Social「【3分解説】ノンバイナリ―とは?その意味をわかりやすく解説!」https://sports-for-social.com/3minutes/nonbinary/ 2024年2月26日閲覧
ノンバイナリー研究会「【記事ノンバイナリー差別を廃絶するために】」https://nonbinaryken.studio.site/posts/no_nonbinary_discrimination 2024年3月2日閲覧