「パートナーとの関係構築においてセックスやスキンシップがつきもの」
という考えは僕達が生きている社会に深く浸透しています。
また下世話な話、パートナーがいる事を周囲へ伝えると「キスはしたの?」「セックスはしたの?」という質問をされる事があるのではないでしょうか。
「付き合ったらセックスやスキンシップをする」という事が半ば強制されているようにも思えます。
周囲にパートナーと体の関係にあるかどうか聞いてくる当人達は「俺らは悪気はないし、ハラスメントなんてしているつもりはない」と思っているかもしれません。
ですが、セックスやスキンシップに興味が無い人は「キスはしたの?」「セックスはしたの?」という質問をハラスメントと捉えます。
みんながみんな、セックスやスキンシップの話題が好きというわけでは決してないので「知らなかった」では済まされない場合もあるのです。
そんな、他者に対して性愛感情を抱かないセクシュアリティをアセクシュアルといいます。
併せて読みたい
アセクシュアルの基礎知識についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
そちらもぜひご覧ください。
そこで今回は改めてアセクシュアルについて世間でまだ知られていない事を解説します!
「パートナーとの関係にセックスやスキンシップはつきもの」浸透した理由は?
まず、どうして世間において「恋愛=セックスやスキンシップがつきもの」という考えが広まったのか、その理由を僕なりに述べたいと思います。
それはテレビドラマや漫画・映画・アニメの影響がとても強かったからではないかと僕は思っています。
昔から恋愛や性愛を題材としたテレビドラマや漫画・映画・アニメは数多くあります。
そんな作品の中ではどうしても性描写というものも存在します。
そういった描写を見て、「恋愛にはセックスやスキンシップがつきものなんだな」という考えが広まっていったのでないでしょうか。
次の項目からは世間では知られていないアセクシュアルの事について解説します。
世間ではまだ知られていないアセクシュアルの事
【アセクシュアルについて知られていない事①】アセクシュアルは病気なんかじゃない
よくアセクシュアルの事を「病気だ」という人がいます。
アセクシュアルは「誰にも性愛感情を抱かない」という性的指向の1つです。
ただ、中には「性愛感情を抱かない理由は何なの?」という疑問を抱く人もいるのではないでしょうか。
その理由は人それぞれで「これが正解!」というものはありません。
理由に関しては決めつけで判断をしないようにしてください。
【アセクシュアルについて知られていない事②】アセクシュアル当事者の中にはセックスを厭わない人もいる
「アセクシュアルの人はセックスが嫌いもしくは興味が無い」と思っている人も多いのではないでしょうか。
実はそうではありません。
アセクシュアル当事者の中には性的なアクティビティを楽しむ人も、セックスについて無関心な人もいます。
またセックスについて無関心な人の中にはセックスをするのを厭わない人もいます。
それは「セックスをしたい」というパートナーの欲求に答えるためです。
さて、ここまで記事を読んでくれた人は「アセクシュアルの人はセックスをしたら、もうアセクシュアルでは無くなってしまうのではないか?」と思っているのではないでしょうか。
結論としてはアセクシュアル当事者がセックスをしたとしても、アセクシュアルというラベルは剝がれません。
その理由は性的指向はセックスといった行為ではなく、性的魅力をどう感じるかの体験で決まるからです。
例えば「誰かとの会話を通じて、誰に性的魅力を感じるようになったかが分かった」というものです。
このように人の性的指向は行為ではなく、性的魅力をどう感じたかの体験で決まります。
だから、アセクシュアル当事者の人がセックスをしても、アセクシュアルというラベルは剥がれません。
【アセクシュアルについて知られていない事③】アセクシュアル当事者は恋愛感情を抱く
「アセクシュアルの人って、セックスに興味が無いんだよね?じゃあ、恋愛感情は抱かないって事?」と思っている人がもしかしたらいるかもしれません。
アセクシュアル当事者の中には恋愛感情を抱くという人もいます。
「相手に恋愛感情を抱く」と「相手とセックスをしたい」という感情は別個です。
例え相手の事を好きになったとしても、相手とセックスをしたりスキンシップをしたいという感情には直結しない事もあります。
ちなみにですが、複数恋愛を意味するポリアモリーが付いたポリロマンティックアセクシュアルというセクシュアリティも存在しています。
まとめ
最後に今回のテーマである「世間に知られていないアセクシュアルの事」についてまとめます!
まとめ
- アセクシュアルは性的指向の一種。病気ではない。
- アセクシュアル当事者の中にはセックスを厭わない人もいる。
- アセクシュアル当事者の中には恋愛感情を抱く人もいる。
- 人の性的指向は性的魅力をどう感じたかの体験で決まる。
人と人同士の恋愛関係に必ずしもセックスやスキンシップが必須というわけではありません。
相手に「いつもありがとう」というような感謝の言葉を伝えたり、家事を手伝ってあげたり、プレゼントを渡したり...
セックスやスキンシップ以外の愛情表現の方法もたくさんあります。
「セックスやスキンシップが好き」という人もいるし、そうではない人も確かにいるのです。
「みんながみんな、セックスやスキンシップをしたいわけではない」という事を覚えていただければ、幸いです。
参考文献一覧
NOISE「アセクシュアルなポリアモリー:恋愛と性愛の関係」https://lgbter.jp/noise/0284/(2024年7月20日閲覧)
b-LIGHT「アセクシュアル(アセクシャル)とは?特徴を解説!」https://blight-japan.com/asexual-meaning/(2024年7月20日閲覧)
LGBTER「“アセクシュアル” も恋をするって、知ってますか?【前編】」https://lgbter.jp/tomo_kato1/(2024年7月21日閲覧)
ジュリー・ソンドラ・デッカー著 上田勢子訳(2019年4月15日 初版第1版発行)「見えない性的指向 アセクシュアルのすべて 誰にも性的魅力を感じない私たちについて」(P22~P23、P54~P56)(2024年7月20日閲覧)