コラム

【前編】採用者へ~就活生がLGBTだと伝える理由~

2023年8月18日

就活の面接中に就活生からカミングアウト(以下、カムア)をされた経験はありませんか?「差別をしたいわけではないけど、どのように対応するべきか分からない」と考える方もいらっしゃると思います。

僕は23卒で、面接の時にゲイだとカムアをしていました。そんな僕が採用側にどう接してほしかったのかをLGBT(以下、セクマイ)当事者目線で伝えたいと思います。

今回はその前編として、セクマイ就活生がカムアする理由を説明しますので最後まで読んでもらえると嬉しいです!

カミングアウトをする理由①:ありのままの自分で生きるため

僕は高校1年生の時にゲイだと自覚しました。しかし、嫌われるのを恐れていたので、高校を卒業する前にカムアできた人はたった1人でした。大学生になってから少しずつ高校の友達にカムアするようになりましたが、まだゲイを隠してる人の数の方が多いです。

一方で、大学ではセクマイサークルに所属していたので、最初からゲイとして接していました。自分の高校と大学時代を比較すると、大学生の時の方が心地よかったです。

カムアせずに誰かと恋愛話になった場合、異性愛者を装うために嘘をつかなければなりません。その嘘が積み重なっていく分、本当のことを言えないというストレスが溜まります。そしてそれを信頼している友達にもするので、自分をさらけ出せる人ができず、孤独を感じていました。

それに対して、大学のサークルでは、セクシュアリティを知ったうえで接してくれるので噓をつく必要もなく、ありのままの自分を受け入れてくれる環境ができています。なので、すごく心地が良かったです。(セクマイ同士だからというのも要因だと思います。)

高校と大学時代の経験から、ありのままの自分で働いた方が心地よいと思ったので、就活でカムアすることにしました。

カミングアウトをする理由②:自分を受け入れてくれる企業を探している

ありのままの自分で生きたいなら、セクシュアリティを受け入れてくれる企業で働くことが近道だと思います。

僕は、就活でカムアしていましたが、大学4年の10月の時点でどこからも内定をもらえませんでした。なんとしてでも就職したかったので、カムアせずに就活をした結果、ゲイは隠しながら今の職場で働くことになりました。

今の職場では基本的に恋愛関係の話はしないので、あまりストレスを感じません。ただ、たまに先輩同士が恋愛関係の話をするので、その時は好きなタイプについて質問されないか怯えています。

とりあえず就職して言いたい時に言うことも可能ですが、個人的に面接中の方がカムアしやすいです。

カムアの難しいところは、伝えるタイミングが難しいことと、相手が受け入れてくれるか分からないことの2つだと思います。ですが、面接中ならば両方ともクリアできます。

面接では質問をいっぱいしてくれるので、タイミングが取りやすいです。また、カムアして受け入れてくれそうなら選考に進み、ダメそうなら他の会社に応募するという選択をとることができます。

カミングアウトをする理由③:セクマイだからこそ持てた強みがある

セクマイだからこそ持つことができた強みがあって、その強みを説明するためにカムアする場合もあります。

僕は実際、「ゲイだからこそ、多角的に物事を捉えることができた」ことを自分の強みとしていました。

ゲイと自覚し異性愛者として生活し始めた頃、今まで気にも留めていなかったところが気になり始めました。それは占いや恋愛話など、異性愛者が前提で話が進んでいるところです。ゲイを自覚して初めて、人の恋愛を異性愛者の視点からしか見ていないことに気づきました。

その気づきがきっかけで、もしかしたら、他の物事も自分以外の視点から見ることができるかもしれないと思い始めました。それから、自分以外の視点で物事を捉えることを心がけています。

例えば、スーパーの品出しでアルバイトをしていたころ、18時ごろは調味料やお菓子などの棚を、20時ごろはお酒コーナーを綺麗にするように指示されていました。最初は言われるがまま指示に従っていましたが、どういう意味があるんだろうと気になり始めました。

働いていくうちに、18時ごろは家族連れが料理に使う商品や子供が食べるお菓子を買いに来ることと、20時ごろは会社帰りの人がお惣菜やお酒を買いに来ることに気づきました。あの指示は、それぞれのニーズに応えるためだったんだと知ることができました。

カミングアウトをする理由④:セクシュアリティに関することに力を注いでいた

新卒を採用する場合、学生時代に力を注いでいたことを重視する企業は多いと思います。アルバイトや大学のゼミなどが当てはまる人が多いですが、中には自分のセクシュアリティに関することに力を注いでいる人もいるので、その例を幾つか紹介します。

①大学のセクマイサークルの運営をしている人

大学には、セクマイの方々の居場所となることを目的としたサークルが幾つかあります。そのサークルの代表をしている人・新入生を歓迎する人・イベントを実行する人など、セクマイサークルの運営側として尽力していた人にとってはサークル活動がガクチカになります。そのため、この経験をガクチカとしてアピールしたいのならカムアする必要がでてきます。

②セクシュアリティに関する研究をしている人

また就活において、大学での研究内容や、研究した理由について質問することはよくあることだと思います。その時にセクシュアリティに関する研究をしている人や、研究したいと思ったきっかけが自分のセクシュアリティが関係している人であれば、カムアする必要がでてきます。

③セクマイのための活動をしている人

僕はこうしてライターとして活動していますが、その他にも動画制作や同性婚を認めてほしい活動をしている人など、何かしらセクマイに貢献している活動を経験した人もいると思います。こうした経験がガクチカに使えると考える人がいると、カムアする可能性も考えられます。

後編に続きます

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

就活生がカムアする理由は、少なくとも下の4つあることが分かりました。

  • ありのままの自分で生きるため
  • 自分を受け入れてくれる企業を探している
  • セクマイだからこそ持てた強みがある
  • 「学生時代に力を注いでいたこと」に自分のセクシュアリティが関係している

カムアする理由を知ることで、セクマイ就活生の気持ちの理解につながれば嬉しいです!

後編は就活生がカムアした場合の対応の仕方を当事者・採用者の両方の視点から考えたいと思います!

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つむじ

つむじ

初めまして、つむじと言います。4月に社会人になったばかりのゲイです。ゲイとして生きていく中で、セクマイ生活を豊かにしたいと思ったのがきっかけで、b-LIGHTに参加しました。