PRIDE2023 コラム

差別やハラスメントじゃなくても辛い人はいる

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アセクシュアルのわたしは子どもを持たない、と宣言してパートナーと婚姻届を出した。日本はシングルマザーへの補助や理解が少ないから、子どもを持つために結婚する人は多いだろう。都心部ではそうでもないと思うけれど、地方なら今でも子どもを持って一人前、という風潮のところもあるかもしれない。

幸い、「子どもつくらないの?」「子どもかわいいよー」といった言葉をかけられたことはないけれど、時々アンケートなどで【既婚】には子どものあるなしで選択肢が分かれていて、もやっとすることもある。

アロマンティックの友人は、普通の──いわゆるロマンティックセクシュアルな友達や知り合いから、どんなに説明をしても「好きな人ができたら変わるよ!」「まだ出会ってないだけだよ〜」と言われることが多々あるそうだ。

異性と二人でいたとか、少し親密な連絡が相手からきた、というだけで職場で「付き合っちゃえば〜?」「お似合いじゃない」といったお節介を焼く、既婚の人がいたとも言う。

後者に関してはアロマンティックではない知り合いからも聞いたことがあるので、男女が一対一でいればカップル誕生だ!と冷やかすのはいまだに多くあることらしい。一昔前ならば、それは結婚を促進する行為として少子化の防止に役立っていたのかもしれないけれど、いまやロマンティック・アロマンティックともにうんざり、勝手に好きでもない人とくっつけないで!・ただの知り合いや友達にすぎないのに……と思っている。

本人の恋愛・性的指向に関わらず、こういった発言をするのはもうやめた方がいいと思う。

ハラスメントでなければ、オジサンでなければ、差別でなければ何を言ってもいいわけではない。厚かましいお節介なオバチャンも、許されない、とまでは言わないけれど、2020年代にはあまりふさわしくない気がする。

ノットヒロインムービーズ(ヒロインのいない映画)の映画「そばかす」にも家族からのそういった言葉に辟易する主人公が出てくる。地方を舞台にした映画だったから、母親や、妊娠している妹が放つそれらのセリフの圧力はかなり強かった。

この映画は“普通“──ロマンティックセクシュアル──に見える、アロマンティックアセクシュアルな主人公がそうではない、ということを示していく物語だったが、これはマジョリティのロマンティックセクシュアルな人に対してもそうで、学生時代なんかによくある「Aちゃん、B君のこと好きらしいよ!」って噂話は高校生までで卒業した方がいい。

社会人になってからそんなことを給湯室やロッカールームで話すのはアウティングだ。「子どもがいないと寂しいよ」だって、大きなお世話だ。

法律で差別を禁止したって、理解を促進したって、「普通に見える人には言っていい」ことになってしまうし、カミングアウトしていなければ理解されないことになってしまう。

誰が、誰と、強い結びつきを求めなくても、求めても、それが0人でも1人でも5人でも、それがその人が“今“選んでいることで、他の人がなにかいうことではない。

友人と恋人に差がなくても、恋愛感情がなくて性的欲求があっても、関係を構築してからしか恋愛感情や性的欲求を抱けなくても、それがその人だし、詮索することではない。

もし、誰かが自分に話そうと思って話してくれたなら、それはそうなんだね、と聞いて心の中に閉まっておけばいい。

誰かに自分の思うことを押し付けるのはもうやめよう。もし、意見を聞かれたなら「私はこう思うけれど、これは私の意見だからね」と言えばいい。

ひとりひとりが、自分の道を歩けるように、思いやりを持つ人が増えていけばいいな、と思う。

用語について

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真野いずみ

アセクシュアル。異性のパートナーと法律婚をしています。DINKS。 アセクシュアルやアロマンティックがもっとたくさんの人に認識されるきっかけを作りたいと思っています。