コラム

【ジェンダーレス制服とは?】その歴史や特徴、導入している学校を解説!

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中学や高校において「男子はズボン、女子はスカート」というのは最早旧来型の考えになってきました。

そんな中、登場したのがジェンダーレス制服というものです。

今回は、以下の事を知りたい方々のためにジェンダーレス制服について取り上げます。

  • ジェンダーレス制服について知りたい人
  • ジェンダーレス制服が着れる学校を探している人

ジェンダーレス制服とは?

ジェンダーレス制服とは性別に関係なく自由に着る事が出来る制服です。

セクシュアル・マイノリティへの理解がほんの少しずつ進むにつれ、ジェンダーレス制服を導入する学校も出てきました。

さて、次の項目からはジェンダーレス制服が広まった背景を解説します。

きっかけは文部科学省からの通達

ジェンダーレス制服が広まったきっかけは2015年に文部科学省が「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について(教職員向け)」というものを公表した事です。

これは文部科学省が学校というコミュニティにおけるセクシュアル・マイノリティ当事者の方々への支援方法などをまとめたものです。

公表した背景には学校におけるセクシュアル・マイノリティ当事者との向き合い方に関する質問が文部科学省に多く寄せられていたという事があります。

実際、公表された2015年には一ツ橋アウティング事件という、アウティングが原因となったとてもいたましい事件が発生しています。

一ツ橋アウンティング事件とは?

2015年4月に発生。東京・一橋大学法科大学院に所属する男子学生がクラスメイトにLINEのグループチャット内で自分自身が同性愛者である事を暴露され、自殺してしまった事件。

一ツ橋アウティング事件のような出来事を繰り返さないためにも、文部科学省がようやく対策に乗り出したのです。

ちなみに制服に関して文部科学省は学校における支援の事例の一例として「自認する性別の制服・衣服や、体操着の着用を認める」としています。

そういった指針がジェンダーレス制服を広めるきっかけを作ったと言えます。

さて、そんなジェンダーレス制服にはどんな特徴があるのでしょうか。

次の項目ではジェンダーレス制服の2つの特徴を解説します。

【ジェンダーレス制服の特徴①】選択肢が多い

特徴1つ目は選択肢が多い事です。

従来は性別によって着れるアイテムが制限されてきていました。

しかし、そんな悩みを解決してくれるのがジェンダーレス制服です。

実際、ジェンダーレス制服を扱っている学生服のメーカー、トンボは性別に関係なくアイテムを組合す事が出来るラインナップを取り揃えています。

そんなトンボのジェンダーレス制服ラインナップは以下の通りです。

アイテム名種類
ジャケットⅠ型ジャケット(男子体系用)
Ⅱ型ジャケット(女子体系用)
ボトムスカート
Ⅰ型スラックス(男子体系用)
Ⅱ型スラックス(女子体系用)
校内着合服カーディガン・ベスト・ブルゾン・パーカー
ネクタイリボンネクタイ・リボン

【特徴②】性別による差を感じさせないデザイン

特徴2つ目は性別による差を感じさせないデザインです。

先程紹介したトンボでは、ブレザーやスーツスタイルの学生服も取り揃えています。

ブレザーとスラックスを組み合わせるといった事も出来るので、様々な状況に合わせた着こなしが可能です。

次の項目からは実際にジェンダーレス制服を採用している学校を今回は2つ見ていきます。

実際にジェンダーレス制服を取り入れている学校

【和歌山県】近畿大学附属和歌山高等学校・中学校

近畿大付属和歌山中学・高校は2022年度から色違いのベスト・スラックスにスカート、シャツも青・白・ピンクの3種類を用意しました。

先程のトンボの例からもですが、選択肢が多い事で学生も自由に制服を組み合わせられる楽しさを得る事が出来ます。

【広島県】広島県立加計高等学校

広島県にある県立加計高校は2019年から制服を一新、セクシュアル・マイノリティ当事者の生徒も自由にパンツやスカート、ネクタイやリボンを組み合わせる事が出来るようになりました。

そんな加計高校はNHKの「僕がスカートを履く理由」というウェブ記事がきっかけで、ジェンダーレス制服を取り入れている高校として注目を集めました。

学校側も大切にしている価値観の1つとして「多様性」を挙げています。

次の項目からはジェンダーレス制服を採用するにあたってのポイントを2つ解説します。

【ポイント1つ目】選択肢を増やす

ジェンダーレス制服を導入するに当たってのポイント1つ目は選択肢を増やす事です。

選択肢が増えれば、組み合わせの数も増え、制服を着る楽しさが倍増するからです。

学校側も在校生一人一人の好みに合った制服を作るのには膨大な労力を費やしてしまいます。

膨大な労力を費やすのなら、男子でも着れるスカートのデザインや色のパターンを増やしてみたりといった選択肢を増やしていく事の方がメリットは多いはずです。

【ポイント2つ目】幅広い選択が出来る事をアピールする

ジェンダーレス制服を導入するに当たってのポイント2つ目は幅広い選択が出来るアピールをする事です。

その理由はセクシュアル・マイノリティ当事者の方々の気持ちを傷つけないためです。

仮に学校側がジェンダーレス制服を採用して、「性の多様性を尊重しました!」と大々的にアピールしたとしましょう。

しかし、そのアピールは当事者の方々にとってかえって「厚かましい」「はた迷惑」というように捉えられてしまう事の方が多いです。

大々的にアピールされるよりも、「選択肢がこれだけあるから自由に選んでいいよ」と言われた方がかえって安心します。

当事者の方々を傷つけないためにも、学校側はジェンダーレス制服採用の際は、着れる制服の選択肢が幅広い事をアピールすべきです。

【ポイント3つ目】日頃からLGBTQ+に関する啓蒙活動を学校内で実施する

ポイント3つ目は日頃からLGBTQ+に関する啓蒙活動を学校内で実施する事です。

ジェンダーレス制服が広まりつつあるとはいえ、未だに「スカートを履いている男子は気持ち悪い」というような偏見が根付いています。

学校側は日頃から授業などを利用し、LGBTQ+に関する啓蒙活動を行う事で一人一人の理解へと繋げていきましょう。

啓蒙活動の手段として、企業からLGBTQ+に関する知識を有しているアドバイザーが講義を行う事などが挙げられます。

ジェンダーレス制服について理解を深められましたか?

ジェンダーレス制服は性別に関係なく着る事が出来る制服です。

男子でスカートを履けば好奇的な目で見られたりとセクシュアル・マイノリティ当事者の方々の制服にまつわる苦労は絶えません。

自分が着たい服装を着れないのは本当に苦痛な事です。

ですが、性別関係なく着れるジェンダーレス制服はそんな苦痛に寄りそってくれる存在でもあります。

そんなジェンダーレス制服がもっと広まってほしいのです。

そして最後にですが、ここまで記事を読んでくださった皆様にお願いがあります。

それは皆様に以下の事をやっていただきたいのです。

  • ①私のこの記事を少なくとも1人以上にシェアする
  • ②ジェンダーレス制服について1人以上に教えてあげる

ジェンダーレス制服がもっと広まるために、皆様のお力を少しでも貸していただけると幸いです。

参考文献一覧

文部科学省「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について(教職員向け)」https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/28/04/1369211.htm(2024年3月31日 閲覧)

学生服と体育着のトンボ「ジェンダーレス制服」https://www.tombow.gr.jp/school/original/genderless/(2024年3月31日閲覧)

読売新聞オンライン「制服、性別問わず選べます…和歌山の中学・高校で多様性、個性重視広がる」https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20230601-OYO1T50014/(2024年4月6日 閲覧)

NHK「僕がスカートを履く理由」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210416/k10012974451000.html(2024年4月6日閲覧)

ヒューライツ大阪「特集:アウティングー「暴露」「さらし」を考える 一ツ橋アウティング裁判から考える暴露行為の被害の本質」https://www.hurights.or.jp/archives/newsletter/section4/2021/03/post-201897.html(2024年4月20日 閲覧)